Counteroffensive-反撃の鯨波-

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「…………」 長きに渡り日本の空を守り続け、西側最強と謳われていたF-15が地に墜ちた姿は、隊員達をやるせない思いにさせた。 ━━制空権の確保が予想以上に難航してるみたいだな…… 青空に混じる雲の上で未だに続いているのであろう空戦に身を投じている戦士達の武運を祈ることしかできないことにもどかしさを感じつつ、中崎は部隊を連れて陣地内へ戻った。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 同時刻.作戦地域上空 陸上部隊が各地への攻撃を遂行する中、その上空では地上に劣らぬ激戦が繰り広げられていた。 蒼窮の空はミサイルと銃弾、コントレイルが入り乱れる大乱戦の場へと変貌し、次々に戦闘機がその槍に貫かれ雲の下へ散っていく。 その中で、第302飛行隊のF-15Jを操るパイロット達は、己の目を疑わずにはいられなかった。 『なんだあいつらは!?』 作戦開始から前半にかけては、中国空軍機を相手に優勢を保っていたF-15部隊だったのだが、そこへ突如現れた敵援軍部隊が瞬く間に中国空軍の勢いを盛り返し、今や形勢は逆転しようという域にまで迫っている。 それに相対する航空自衛軍のパイロット達も、言わずと知れた『イーグルドライバー』と称される精鋭パイロット達である。そう簡単に撃墜されることはないが、苦戦を強いられ続ける中で一機、また一機と徐々に追い詰められんとしていた。
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