Counteroffensive-反撃の鯨波-

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現代のミサイルは、発明当初と比べれば驚くほど飛躍的な進歩を遂げている。一昔前は真後ろからでなければ敵機を捕捉できなかったミサイルも、今では真正面からでも捕捉・発射が可能となった。 放たれれば、それはもう死刑宣告を受けたと言っても過言ではない。 だがそれでも、一発必中というわけではない。ミサイルの性能向上に比例して、それへの対抗手段、機体の性能自体も向上している上、やはり熱源を捉えにくい真正面や側面から放たれたミサイルは本来の追尾能力を発揮できない。敵機が高性能かつ優秀なパイロットであればあるほど、命中率は低下するのである。 故に確実に敵機を撃ち落としたくば、如何にして敵の背後へ回り込むか。ということが、兵器の性能が上がった今日においても重要視されているのは言うまでもない。 こうした事情から敵は正面から放たれた長距離ミサイルを難なく回避して見せ、とうとう水瀬等の目の前まで迫ったのだった。 ━━そして、次の瞬間。 両軍の間を双方から突如放たれた機関砲弾の鎖が交差し、それが鏑矢となり一瞬にして辺りは乱戦状態へと陥った。 水瀬もすぐ横を突き抜けていった機関砲弾に咄嗟に機体を逸らし、そして直後に音速ですれ違った敵戦闘機を一瞬であったがその目に捉えることができた。 ━━今のは……間違いない…… F/A-35同様、第五世代機に分類されるステルス戦闘機…… ━━J-20(殲撃20型)だ……
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