Counteroffensive-反撃の鯨波-

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……マズイ。敵機の正確な位置を把握しなければ、対応が後手に回ってしまう。 必死に敵機を見つけ出そうと目を凝らす。対称的にじわじわと近付いてくるレーダー上の反応が焦燥感を煽る。 『くっ……何処に……っ!』 ━━あれ……? その時、ふと気がついた。 ……コックピット内に、日差しが届いていない……何かが、日を遮っている。 『っ!?』 ━━しまった……奴は上方に……!? 急いで見上げたその目に映ったのは、急降下・急減速して上方から突然その姿を現したJ-20。 巨大な雲を活用した上で、機体のブルーを基調とする塗装で自らを青空に溶け込ませ、さらに鋭い日差しを味方につけ、敵はレーダーではなくパイロットである水瀬の目を眩ましたのだった。 そのJ-20は高度な機動力を以て、ロール(回転)しながら上方から水瀬のF/A-35Bの真後ろに転がり込んだ。 『くそっ……なんて滅茶苦茶な機動なの……!?』 同時にコックピット無いに鳴り響いた警報と、HMDに赤く表示されたのは、自機がロックオンされたことを知らせる最後通告。 『くっ……!』 すかさず機体を急旋回。その照準から逃れるため回避行動を取るが、敵も逃がすまいとしつこく食い下がってくる。
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