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忍に連れて来られたのは屋上だった。
この寒い時期に屋上でサボりってナシだでしょ。
「何の用?用事もないのに忍は一緒にサボったりしないでしょ?」
「いいから黙ってろ」
「なっ、」
階段の影に連れ込んだかと思ったら口を塞いでくる。
至近距離で見る忍は変に口許を上げててイヤな予感が過った。
「香坂君、こんなとこでヤるの?」
「どこだっていいだろ」
(香坂先輩、なんで?)
「言っただろ、香坂先輩はやめろって」
見てるあたしらを他所に、香坂先輩と女子生徒は濃く深いキスをしてる。
忍はあたしの動揺を誘いたいんだろうけど、別にこれくらいじゃ動揺しない。
今朝だって“彼女その五”宣言されたわけだし、あたしだけが“特別”になりたくて香坂先輩に近づいたんじゃない。
「別に気にしないけど、それよりシテんのあたしに見せようとするあんたの神経疑うよ」
忍に冷たい視線を送ると遠慮なくあたしは香坂先輩の前に出る。
不機嫌な香坂先輩に対して一礼するといつもより早足で屋上を後にした。
なんで香坂先輩はあたしを待つのか不思議だった。
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