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香坂先輩と帰りたいって彼女は他にいるハズ。
それなのに香坂先輩はあたしを待ってる。
そんな先輩の姿を見ると走って駆け寄らずにはいられなかった。
「待たせてゴメンなさい」
「いいよ、こっちが勝手に待ってたんだし。それよりさ、聞きたいことがあるんだ」
「えっ」
歩み出さない香坂先輩をいぶかしげに思いながら見上げ、ちょうど立ち止まる。
風は冷たく、もう日は暮れようとしていた。
「どうして俺なんだ?君は誰でもいいんだろ?」
核心を突いてきた香坂先輩に言葉が出てこない。
目を反らすことは図星を指していることになるけど、今は眼光の鋭い香坂先輩の目を見ることができなかった。
「なんだ、バレてたんだ」
悪ぶるつもりはない、でもそう聞こえてしまうのはあたしが思っているより醒めてるから。
それなら隣を歩く必要はないからトボトボ先を行く。
「最初から気付いてた」
「そう。じゃあ、なんでわかってて付き合ってくれるの?」
「同じだと思ったから。どっか似てんだろ、俺らさ。その人以外なら、誰でもいい。最初見たとき目にそう書いてた」
香坂先輩のその顔は醒めていた。
諦めたような胸を締め付けられるような。
打算で気持ちを殺すしか、できないような。
それは、あたしも同じか……。
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