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「そう、かもしれません。でもなんであたしを毎日送ってくれるの?」
ずっと疑問に思ってた。
何にでも理由が欲しいあたしはつい直球をぶつけてしまう。
後ろから聞こえてくる声にあたしは見向きもしない。
「そうだね、放っておけなかったから」
それは風に消され、置いてきた香坂先輩はいつの間にか追い付いてきた。
顔が近付いてきてハッとし身を縮めると頭に手が降ってきた。
そして優しく撫でる。
一瞬、お兄ちゃんとダブって安心した。
「妹みたいじゃん。いたんだよ、織依と同じ十六の妹が」
「ふーん」
『いた』、ね。要するにあたしと自分の妹をダブらせてるってこと?
香坂先輩の切ない顔が今までに見たことなくて胸が苦しくなる。
それが伝わらないように興味なさげにあたしが返事をするとその場は静かになった
ふとあたしの頭に面白いことが降りてきた。
「お兄ちゃんっ!」
今までにないくらい飛びきりの笑顔を添えて言ってみた。
この間のディープキスの仕返しのつもり。
思った通り香坂先輩はあたしをきょとんとしてる。
「はぁ?」
「フフッ、やっぱ驚いてる!」
「からかったな」
「ハハッ」
あたしは香坂先輩の手を取り、大きく揺らしながら歩いた。
それはまるで兄弟みたいで今だけなら香坂先輩と兄弟でもいっかなって思ったりしたの。
人との距離がわかりません。
モテる貴方から愛を求めようとは思わないわ。
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