第3話・レンアイごっこ

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ねぇーー、私と恋愛しない? 第3話・レンアイごっこ 忍は友だち、腐れ縁っていうか。 中学の同じクラスだったと思う。 その頃からあたしは短距離と恋に夢中だったから、忍がいつも側にいることに気付けなかった。 今ごろ気付いたことを遅かったとは思わない、今でも良い友だちだと思うし。 ただ寂しいみたいな、同じ位置にいると思ってた奴が自分よりも先を歩いてることが悔しいんだ。 体育で忍が視界に入ってふと思ってしまった。 視線がぶつかって気まずそうに目を反らす忍が気になる。 そりゃあたしもキツイこと言ったけど、忍の香坂先輩を貶めようとする卑怯な行動は許せないしムカついたわけで。 そんであからさまに避けられるのはもっとムカつく。 こんなはずじゃなかったのにな。 魔女の言葉はまだあたしの耳に残ってる。 あたしは知ってしまったから。 恋愛の浅ましさを、人間の汚さを。 同じ道を歩もうとは思わない。 勢いに任せた行動がダメなことくらいわかってるのに。 それでもあたしは魔女と同じ道を進んでる気がして、忍と肩を並べて歩けない。 あたしは恋なんて覚えるべきじゃなかったのよ。 「恋愛を教えるって言ってもそれって自分の気持ちの問題だろ」 帰り道、例によって例のごとく香坂先輩と帰ってる。 駅までの短い帰り道。 少しだけ寂しいと思うのは香坂先輩があたしの中に侵食してきてるのかも。
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