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「それはわかります、それからのステップが知りたいんですよ」
「気持ちが添わないのにそんなことして意味あんの?」
「それはーー」
言葉に詰まるあたしはある人の顔が浮かぶ。
あたしは彼に恋してる。
「あります、たぶん」
違う、ないと困るんだ。意味がないとあたしのしてることはムダになる。
「じゃあキスより先に進んでいいんだ?」
冷たい瞳で射抜くように見つめられたら、そりゃ誰でも惚れるよ。
まあ、あたしのタイプじゃないけど。
ところでキスより先、ってなんだろ?
ハテナマークが頭を埋め尽くす前に香坂先輩の顔が近づく。
ちょっと待ってて。
「クスッ。ほら、嫌がってる」
あと数センチで唇ってとこに先輩の顔があって、目をぱちくりさせてからからかわれたんだと知った。
もうムカつく、人で遊んで何が楽しいのよ!
だいたい最初に会ったときから気に入らなかったのよ、この態度っ。
上から、俺様!ちょっとは敬うとか女の子扱いするとかいてくれてもいいでしょ!
「まあ、無理すんな。知りたいってんなら教えてやるよ、その代わり織依が覚悟したときにな」
「子ども扱いしてません?」
「してる、賢いじゃん」
頭を撫でられてまた先輩は歩き出す、それに慌てて追い付くと脇腹を突っついてやった。
あたしなりの細やかな復讐だ。
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