第3話・レンアイごっこ

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「それって聞いて欲しいってこと?」 もう駅に着いてしまう、今日は特別この帰り道が早い。 なんで?離れたくない。先輩が好き?違う、絶対アリエナイ。 今日は魔女がいる気がするから。 「そう、かも。部活とかしてないんですよ、辞めちゃって。見てるんです」 「それって好きな奴を?」 「うん」 「仮にも彼氏にそういう話題する?」 「先輩は彼氏、っていうよりお兄ちゃんみたい。今日は家に帰りたくないです」 冗談みたいに言ったけどかなりマジ、もうゲンカイだから。魔女に土足で踏み込まれるなんて耐え難い。 「あのさ、あんま誘うようなこと言うなよ。無自覚にもほどがある」 「マジです、マジで帰りたくないんです!誘ってるんです」 一歩先輩に近付いてそっとつま先立ちで先輩の唇を塞ぐ。 今のあたしはこれがいっぱいで体とか震えちゃってるけど、伝わるよね。 もう限界、ジョーダンじゃない。 恋愛ってそんなにいいものなの? 肌を合わせて、心を寄せて……。 それで何が生み出されるの? あたしにこそ恋愛を教えてよ。 オニイチャン。
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