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キタイ、なんてしてない。
むしろそんな覚悟ない、わからないのに覚悟とかできるわけないじゃん。
第4話・じれんま
香坂先輩の制服の裾を掴んで放さないあたしは子ども。
好きな人は今日、魔女といる。
勝手に居座ってさも家族みたいに溶け込んで、もう許せなかった。
怒りをぶつけたいのにお兄ちゃんに嫌われるのがイヤで何も言えず、ムリして笑ってるあたしをもう一人のあたしが嘲笑っている。
もうたくさんだ、偽善者のあたしは。だから逃げたいって思って香坂先輩を利用しようとしてる。
恋を忘れるのは恋が一番なんて嘘。
新しい恋をするには時間が必要で、何重にも鍵を掛けて蓋をした箱の中身が忘れて消えて死んでしまうだけの時間が。
まだ目覚めたばかりの瑞々しい感情に時間が追い付くことなんてまだないのかもしれない。
「ここ、使って。妹の部屋だから」
「でも、……悪いですし」
「そんなの今さらだろ。帰りたくないって女から言われたら、男は泊めたくなるものなんだよ」
香坂先輩の言葉の意味がわからず見つめてしまう。
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