第4話・じれんま

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温かな夕食が終わり、あたしはベッドで寝転んでいる香坂先輩を静かに見つめる。 ラフなジャージ姿の先輩は普段より全身にまとう針みたいな空気が緩んでる。 「キスしてくれたら、それでいい」 「そんな、できない」 「知ってる、だからやらせたい」 「イジワル」 呟く言葉は雨に消されてしまう。 鋭い目で見つめられれば、体が一歩ずつベッドに歩み寄る。 先輩の寝ているベッドにあたしも腰掛けて、先輩の顔に手を置く。 逆らえない視線に顔を近づけるけど、あたしにはできない。 それを証明するように手も震えてる。 「はぁ。まあいずれさせるから、覚悟しとけよ」 「そ、そんなのしないっ。させたいなら他の彼女さんにさせればいいじゃないですか」 「そだな。でも織依、お前も彼女だ」 強引な眼差しがあたしを誘う。 その瞳に囚われてしまいそうで怖い。 「じゃあ、誰だったら手を出さないんですか?」 「……妹」 さっきとは違う暗い感じで香坂先輩は呟く。 あたしはたぶん悪いことを言ってしまったんだ、突っついちゃいけない先輩のレッドゾーンを。 「す、すみません」 「別に気にしてない、妹が今のオレを作ったから。だから妹には手を出せない」
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