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「香坂先輩、あたしに恋愛を教えてくれませんか?付き合ってほしいんです」
バカみたい。
恋愛に夢中になって。
恋愛ってそんなに幸せになれるものなの?
第1話・イモ女。
「悪ぃけど、アンタみたいなイモ女を相手にするほど悪趣味じゃねーんだよ、オレ。出直して来い」
誰がイモ女よっ、だ・れ・が!
失礼過ぎる先輩にぶちギレそうになるのを堪えて笑顔をキープ。
嘲笑に晒され教室で赤っ恥をかくがそれも我慢。
「こら織依(オリエ)。ごめん、香坂」
横槍を入れてきたのはお兄ちゃん。
そういえば、お兄ちゃんのクラスでもあったんだっけ。
「お兄ちゃんはうるさいっ。香坂先輩、あたし諦めませんから。出直してきます」
勢いよく一礼してから大股であたしは自分の教室がある一階に戻る。
あたし、早瀬織依は短距離の選手だった。
昔から走るのが好きだったけど、今はもう走ってない。
競技として走ることにあたし自身が限界を感じて辛く思ったから、怪我を期に部活を辞めた。
走ることから逃げたあたしには何も残っていない。
カラッポなあたしの生活は一変して不真面目街道まっしぐら(笑)になった。
「イモ女だって、どう思う?」
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