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「あのね、織依。授業に出なよ」
「嫌だ、悔しいんだから」
山本先生はうんざりしながらもあたしのグチに付き合ってくれる。
「英語だけ危ないんでしょ?」
保健室のベッドに座ってるあたしに山本先生がお説教するけど、耳半分くらいで聞いてる。
足だってブラブラさせてやる。
「だってキライなの、大浜先生が。それよりもイモ女問題!解決してくれなきゃ授業なんて出ない」
大浜先生の授業だけあたしはサボってる。ダメなことってわかってるけど、女って雰囲気丸出しな大浜先生は好きになれない。
「どこお姫様よ……。じゃあ、もう少し女らしくするってのはどう?」
「どうやって?」
「例えば、ボサボサの髪を綺麗にするとか。お化粧を覚えるとか、だから授業に出なさい」
背中を押されて山本先生からムリヤリ追い出されてしまった。
行き場がないわけではないが、足が勝手に教室へと向いている。
つくづく真面目な性格の自分がイヤになる。
膝上、五センチのスカート。
ボサボサだった髪は茶色に染めてヘアアイロンでストレートに。
部活やってた名残でスッピンだったけど、少しだけ化粧して薄ピンクのグロスを塗る。
身だしなみもバッチリOK!
大股で歩くクセも気をつけてるし、もうイモ女なんて言わせない。
ここまでくるのに二週間もかかったんだから、あのモテて調子こいてるヤローを絶対!ギャフンって言わせてやるっ。
「織依やめときなよ……」
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