第1話・イモ女

5/5
前へ
/69ページ
次へ
と言った瞬間、香坂先輩は近づいて来た。 …………。 頭が何をされてるのか理解できない。 目を真ん丸に見開いて呆然と先輩のされるままになる。 周りの視線が痛く、その中にお兄ちゃんもいるのかと思うと心苦しい。 (キス、されてるの?) 「っふぁ」 理解したところであたしは息が苦しくなって口を開けると、先輩の舌が入ってきた。 あたしの舌に絡み付いて弄んでる。 下の方からゾワゾワしたものが這い上がってきて心臓が震えた。 マンガとかで知識はあっても想像と現実じゃ違う。 実際に先輩から与えられる快感は私をオカシクしそうで堪らない。 「ちょっと待て!」 その声に暴れていた先輩の舌が止まる。 「おい香坂、何してんだよ。離れろって」 お兄ちゃんがあたしたちを引き離す。 離されてどこか安心してるあたしがいる。 「何って、お前の妹が誘ったからじゃん」 「っ、織依もう帰れ」 お兄ちゃんに背中を押されて出ていかざるおえなかった。 廊下で待ってた友だちは涙目であたしを見てくる。 お兄ちゃんが止めてなかったらあたしはどうなってたんだろう。 考えると自然と指が唇にいく。 唇の残った火は消えそうもなかった。 「香坂先輩と付き合うって本当?」 「忍には関係ないでしょ」 誰もあたしの邪魔なんてさせない。 あたしの気持ちはあたしだけのもの。 貴方はこんなあたしを軽蔑しますか?
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加