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恋愛はチョコレートのように甘くない。
苦くて味のないブラックコーヒー。
甘さなんて一瞬だけ、後は苦くてもがくしかない。
そんなののどこがいいんだか理解に苦しむ。
第2話・チョコレート
あたしは付き合うって行為をしたことがない。
それどころか香坂先輩にこんな話を持ち出さなければ、もうしばらくはお付き合いと無縁だったハズ。
だから具体的にどんなことをするのかわからなくて。
ーー恋は幸せなものじゃないわ。
何かの小説のヒロインのセリフがチョイスされて頭にふと浮かんだ。
陸上をやめてからというもの時間を持て余して本を読みまくった。
ジャンルは様々であえて恋愛小説が浮かんだのは、たぶんあたしが恋をしてるから。
そう、恋は幸せじゃない。
『関係あるよ、だって俺はーー』
『やめて、その先は聞きたくない。あんたなんか好きじゃない人と付き合ってるくせに、そんな奴キライよ』
それはついさっきの出来事。
きっと、傷つける言葉を忍にぶつけた。
じゃあ、あたしはどうなんだって言われたら返す言葉がない。
あたしも忍と一緒。
好きでもない香坂先輩と付き合おうとしてる。
たぶんあたしは忍よりも打算的で卑怯だ。
「待ったんだけど」
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