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 翌朝。自宅で化粧をする。こんな日はファンデーションの乗りがいい。戸野塚を愛でたせいで大量の女性ホルモンが分泌されたんだろう。恋愛の力は凄いと体感する。昨夜は食事をしただけで何もなかったけど、それでいい。 「おはようございます!」  元気に挨拶してオフィスに入ると、大竹が血相を変えて駆け寄って来た。 「真田主任、昨夜戸野塚さんと食事したって本当ですか?」  何処で見ていたのか、誰が見ていたのか。情報とは速いものだ。会社の隣のカフェだ、まあ、目撃者がいても不思議ではない。 「え、ええ」 「あーやっぱり本当だったんですね。ガセじゃなかった」 「残業してたら戸野塚くんが帰ってきてね、お腹空いたから食事にね。だからたまたま、たまたまよ」  慌てて言い訳する。まあ、あながち嘘ではない。お腹が空いたから食べに行ったのは本当だ。私の言い方がヘタクソだったのか大竹は鼻息を荒くした。
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