ソッフィオーネを鳴らす日まで

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アタシのお見合い相手は、ウラジオストク市内にある海運会社の常務の御曹司(おんぞうし)のヤホースキーさんでありました。 ヤホースキーさんのお父さまは、これまで大切にしていた日本の陶器(とうき)の骨董品(こっとうひん)や株券やゴールドプレートなどを全部売却して4000万ルーブルを受け取ったあと、うちに送金して下さった… 4000万ルーブルを与える条件として、アタシが女子大を退学して、ヤホースキーさんと結婚すると言うことであった… そんな… あんまりだわ… 大学も、恋も順調でこれからだと言うときに… なんで大学をやめて、好きでもない人とお見合いをして結婚しなければならないの… アタシ、イヤ… 好きな人と結婚できないのであれば、結婚せずにキャリアひと筋を選ぶ方がいいみたい… 困り果てていたアタシは、父に対して『アタシが大学を卒業するまで結婚を待ってほしい。』と申し出た… しかし、父は口をへの字に曲げましていやそうな顔をしてアタシにこう言うた… 「ヤホースキーさんの家については、過去にトラブルが発生した時に金銭的な援助をしてあげたのだよ…他にも、ヤホースキーさんの家に恩義があるのだよぅ…」 父は、ヤホースキーさんの家に恩返しができていないと言うだけなので、アタシのことは二の次三の次になっていた…
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