第1章

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数分歩いて、近くのお寺の脇にある公園の隅まで行った。そこの壁を隔てたところに、丁度、墓地があるのだ。自分の写真をおき、線香を砂の上に刺した。ライターで火をつけ、コークを横に置くと、なかなかどうして、見事な葬式が出来たわけだ。 写真は中学の卒業式が終わった後に、集合写真を撮ったんだけれど、その時、撮られたやつを拡大したものだ。僕は笑顔だ。でもね、内心、なんで集合写真なんて撮らなきゃいけないんだ。とっとと帰りたいのにって思ってたんだよ。 ふと横を見ると、一匹の野良猫が僕の葬式に参列してくれていた。そうか、お前も僕の死を悲しんでくれるのか。ニャーニャー鳴いてくれている。でもね、そんなに悲しまないでおくれ。僕は生き返るのだから。その野良猫に向かって僕はそう呟いた。 しばらく、タバコを吸いながら、野良猫とゆっくり月を眺めたあと、僕はそいつに別れをして、旅立つ事にした。 猫は悲しい時もさよならする時もニャーニャーだった。
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