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ソウ
「ちょー聞いてよ奏さん!!
うちの彼氏、浮気してんねん!!」
「……は?!」
あまりに唐突な内容に一瞬マヌケな声を出してしまったが、すぐに気を取り直して質問する。
「彼氏がそうゆーたんか?」
千穂ちゃんは憤慨し、声を大にして叫ぶ。
「言わんでも分かるわ!最近ごっつ冷とーなったし、うちが話してる間もずっと上の空!他事ばっか考えてはる!!
メールやって返してくれん!最初の頃はマメに返してくれよったのに!
絶対うちに飽きて他に女作ったんやわ!うちがこなな昼夜逆転の仕事しよるから、時間が合わんで余所の女に走ったんやわ!!」
一気にまくし立てたあげく、机に突っ伏して泣き出してしまった。
ここはライブハウスの休憩室。
参加するヴォーカリスト達の楽屋でもある場所。
とはいえ、もう俺達二人以外はさっさと撤退してしまっているが。
きっと外の廊下までまる聞こえなんだろな…
そう心の中で苦笑しながら必死で千穂ちゃんをなだめた。
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