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「─…とにかく
彼氏と一度しっかり話し合ってみな。
泣くんはそれからや。
ただの千穂ちゃんの勘違いやとしたら、今流しよる涙が勿体ないがな。」
「…うん…ありがと奏さん…
恐いけど…勇気出して話切り出してみるわ!」
千穂ちゃんは静かにそう言って、可愛い笑顔をこぼした。
「…けどホンマいつも思うんやけど、奏さんって大人の男性ッって感じやなぁ!
ステージでも常に冷静やしトークも落ち着いてはるし、頭も良さそうやし…凄いわぁ!!」
完全に元気を取り戻した千穂ちゃんは、そう言って煙草に火をつけた。
途端に俺の心中にフツフツと怒りが湧いてくる…。
「なあ奏さん!もし彼氏と別れたらうちと付き合ってーやぁ!」
彼女はそう言って口から煙を吐き出した。
部屋中に充満する煙に嫌悪感が増す。
「悪いけど、煙草吸う女とは絶対付き合われへんから。」
「…あ…ごめん…
うち……ホンマごめん……!」
急いで千穂ちゃんは煙草を灰皿に押し付けた。
「もうええかな。俺、帰るから。
はよ彼氏と話し合うんやで。」
慌てて立ち上がろうとする彼女に冷たく背を向け、俺は部屋を後にした。
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