歌と文字と女と俺

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──…ヴィィ~ン……── パソコンの電源を入れると起動音が静かな部屋に響いた。 俺は毎日必ずパソコンでしている事がある。 それは 『出会い系サイトでのブログアップ』だ。 約一年程前に、リアル関係には内緒で密かに登録して以来、欠かす事なく日記を書いているのだ。 無論、日記を書くだけならわざわざ高い料金を払ってまで出会い系でブログをアップする必要性はない。 出逢いを求めていないと言えば嘘になる。 しかし、世間一般が抱いているような短絡的なイメージで決してこのサイトを利用している訳ではない。 “気に入られたら逢ってセックス” そんな下心ありきの目的で日記を書いた事はただの一度もない。 ただ… 男として、どれだけ通用するか? 世間の女性達に、俺の書く文章だけで、どれほどの物を受け取ってもらい感じ取ってもらえるのか? 俺は挑戦してみたかった。 異性への“挑戦”を果たし、異性への“可能性”を見出だしてみたかった。 そして俺自身も、“気付き”や“閃き”を常に追い求めていたかった。 男であるという事を忘れて生きてゆくのが恐かったのかもしれない…。
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