一夜

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「これで、子やぎを追いかけるのはひとまず止めていただけますか。」 「今夜は親分の言うとおりにします!」 今夜は、か。 狼としては仕方ないのかもしれないが。 「親分は止めてください。ただの店主です。」 「はい!店主の親分!」 ・・・・・・狼って、頭悪いのか? いや、木戸、すまん。 しかし、木戸だって大工の棟梁に「あれはちっとばかし馬鹿だな」と言われてるし。 「どうもごちになりやした!」 ん?待て待て待て。 どうしてそのまま帰ろうとする。 「ちょっと!あんた、何でお代払わないのよ!無銭飲食?」 珠美さんが、引き止めてくれた。 「へ?あ、すいません!てっきり店主の親分のおごりかと。」 調子いいな、こいつ。
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