序章

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かつて、この世界には人に害を成す存在、魔物が生息していた。 魔物は、気まぐれに人里を襲っては、殺戮を繰り返した。 魔物の中には、不思議な力を使うものもあり、人々が自身を護るために組んだ自衛団も、太刀打ちが出来なかった。 人々はいつか魔物に滅ぼされてしまうんじゃないか。 そういう不安に駆られ、日々を暮らしていた。 しかし、そんな日々もある日をきっかけに、終焉を迎えた。 この世界のどこかで、不思議な能力に目覚めた人間が現れ出したのだ。 魔物に一度でも襲われた。 魔物に家族を殺された。 交通事故で生死の狭間を彷徨い、奇跡の生還を果たした。 きっかけは様々だったが、その力は強力で、魔物に対抗できるものだった。 人々は、その力に目覚めた者たちを総称して〝魔狩人(まかりゅうど)"と呼んだ。 魔狩人にも個性があり、いろいろな特徴があった。 あるものは、炎、水、氷、雷の4つの属性を自在に扱えた。その様子がまるで魔術のように見えた事から後に魔術師と呼ばれた。また研究が進むと、一人で全ての属性が扱えるわけではなく、一人に最低で一つ、稀に二つの属性が扱える事がわかった。 またあるものは、どんな怪我でも治癒し、毒や麻痺も浄化する力に長けていた。後に治癒士(ヒーラー)と呼ばれ、魔物が少なくなった現在も、怪我や病気を治せる事から世間に貢献している。 またあるものは、剣の腕に長け、剣であればなんだって切る事が出来た。後に剣闘士(ナイツ)と呼ばれた。 魔物が衰退してからは、日常でも切断能力が発揮される為、危険と判断され一時幽閉されていたが、ある時、切断能力を制御できる魔石が発掘されてからは、平常生活に戻る事が出来ていた。 またあるものは、射撃の武器に長けており、その力を持つものが、発射した物は、寸分違わずに目標を貫いた。全盛期は弓や投石しかなかったが、現在は銃もその力の恩恵を得ており、射撃手(スナイパー)と呼ばれている。 世間は、その存在の誕生に歓喜した。これで、魔物に怯えて暮らす生活からおさらばできる。 と、しかしそれと同時に、魔物も特殊な力を持つものが現れ出し、苦戦を要した。 でも、その長い戦いも永劫と続くものではなかった。 魔狩人たちは結束し、調査を繰り返し、そして当時、魔物を指揮していたボスを突き止め、 そして死闘の末に、ボスを倒す事に成功した。
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