episode1・②

19/30
57人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
わたしの初恋は、わりとすんなりと実った。めでたく西村さんの恋人になることができたのだから。 初めての恋が実り、しかも、大好きな彼と同じ大学に合格し、そのうえ、有村さんがアルバイトをやめることによって、その後釜にわたしが決まり、完全に浮かれていた。 わたしは、子供だった。目の前にある幸福が、虚像だったなんて、ちっとも気がつかなかった。 初めの頃、わたしと西村さんはうまくいっていた、と思う。 西村さんは優しく、楽しく、わたしは日を増すごとに彼に夢中になった。 ファーストキスも、ヴァージンも、全部西村さんに捧げた。 そのことは今も後悔していない。だって、大好きな人だったから。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!