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わたしの初恋は、わりとすんなりと実った。めでたく西村さんの恋人になることができたのだから。
初めての恋が実り、しかも、大好きな彼と同じ大学に合格し、そのうえ、有村さんがアルバイトをやめることによって、その後釜にわたしが決まり、完全に浮かれていた。
わたしは、子供だった。目の前にある幸福が、虚像だったなんて、ちっとも気がつかなかった。
初めの頃、わたしと西村さんはうまくいっていた、と思う。
西村さんは優しく、楽しく、わたしは日を増すごとに彼に夢中になった。
ファーストキスも、ヴァージンも、全部西村さんに捧げた。
そのことは今も後悔していない。だって、大好きな人だったから。
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