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夏樹がわたしを抱きしめながら、ソファーに倒れこんだ。二人とも限界だった。
目覚めたら、夏樹に聞きたいことがたくさんある。
趣味や、休日の過ごし方。好きな食べ物、好きな色・・・。
わたしは、何から話そうか。
薄れゆく意識の中で考えていると、
「雨がやむまで、ここにいようか?」
と、夏樹が囁いた。
「それも、いいね」
わたしは答え、夏樹の固い胸に頬を押し付けた。
「ずっと雨がやまなければいいのに」
夏樹のつぶやきに、私は答えた。
「大丈夫。きっと、明日も雨だから」
屋根に打ちつける雨の音が、やがて、優しい音楽に変わって、わたしたちを包み込んだ。
久しぶりにこみ上げる恋の予感に、わたしは今身をゆだねている。
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