episode1・②

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わたしは、その男子生徒とともに教師に呼ばれた。 男子生徒は、わたしと同じくらい背の低く、底の分厚い眼鏡をかけていた。いかにも小学生あがりの頼りない男の子という感じだった。 _どうしてこれを盗んだんだ! 間に入ったのは、一年生の学年主任で、体育会系の声の大きな男の先生だった。 _おい、聞いているのか? _すみ、ません。 男子生徒は今にも泣き出しそうだった。 _すみませんじゃなく、盗んだ理由を聞いているんだ。理由を! _あの、別にわたし、もういいです。大したものじゃないし。正直、ちょっと失敗作だし。 見かねたわたしが間に入ると、男子生徒はとうとう泣き出してしまった。俯きながら肩を震わせ、分厚い眼鏡の下から、ぼろぼろと涙をこぼし、小さなうち履きを濡らした。 _そういう問題じゃないんだよ。花田。これはな、れっきとした泥棒なんだ。おい、泣いてないで理由を言え、理由を。 いい加減、わたしはこの見当違いな熱血教師の尋問にうんざりしていた。そのうえ、 _なんだ。お前、もしかして、花田先輩の事が好きなのか?え?それで、盗んだりしたんだろう。ったく。それじゃ、下着泥棒と変わらないだろう。この、変態が! こんなことを言い出す始末。
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