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「草太、まだメシ食ってんのか?」
空いていた草太の隣の席に座ると、呆れ顔で声をかけた。
クラスの中心グループに属する淳次に比べ、色白で童顔、体も小さい草太は大人しいグループに属しているが、幼なじみということもあり、2人は気安い仲だ。
「あ、うん、ゲームに熱中しちゃって。なかなかここをクリアーできないんだ」
草太は恥ずかしそうに携帯ゲームの画面を見せた。
「デュフフ、そいつは尻尾のつけ根をねらうんだよ」
淳次が座っている席の後ろにいた野口章正が立ち上がりざま、一人言のようにアドバイスをした。
小太りのニキビ面はいかにもオタクっぽく、嫌味な性格からクラス中から嫌われていたが、草太にだけは心を許しているのか、気安く話しかけてくる。
「そっか、ありがとう」
「デュフフ」
章正は嫌らしく笑うと、淳次をチラリとも見ずに去っていく。
みんなに好かれている淳次が嫌いなのだ。
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