68人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ
ジャスミンの香る木陰に人目を忍ぶようにそっと腰を下ろす。
彼を思わずこの腕の中に閉じ込める。
「ちょっ!!要さん……」
抵抗する様子も無く石田陽介もおずおずと背中に手を回してくる。
「誰にも見せたくないくらい良かった。今だけ、俺だけの石田陽介でいて欲しい。」
「はい……今だけじゃなくてこれからもずっとですよ?」
そんな嬉しい台詞を言われ、思わずこの腕に力が入る。
「キス……してもいいですか?」
「え?」
「要さんとの初めてが記憶にないのは嫌なんです。だから、っ……んっ……」
記憶に刻み付けるように、俺は何度も何度も柔らかい唇にキスを落とした。
深く深く……
一生忘れないようにと……
<了>
最初のコメントを投稿しよう!