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組伏せられた侵入者のフードを取り顔を確認すると、真理子は押さえ付けている中年紳士に目配せをした。
紳士は頷くと男の頸を強く締め上げる。
しばらく抵抗をしていた侵入者が、ぱたりと動かなくなると、静かな時間がが訪れた。
壊れた人形のように母の肩を揺すり続ける典子の肩に、真理子は優しく触れる。
ゆっくりと目線を上げ、傍らに立つ真理子を見る。
「おかあさんが起きないの・・・」
震える声で典子が言う。
真理子は典子の隣に座り彼女をそっと抱き締め、耳元で優しく諭した。
「…もう、動けないのよ。」
典子の乾いた眼から、ぽたぽたと涙が溢れはじめる。
侵入者を組伏せていた紳士が2階の様子を確認して、真理子に向けて首を左右に振って見せる。
父は2階で殺されていた。
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