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自分の髪に指を絡めて羨望の眼差しを向けていたら、真理子と目があってしまった。
気まずくて俯き手元の本を読んでいるふりをした。
(感じ悪かったかな…)
そう思ったけれど、だからといって自分から話しかけていくような勇気はなかった。
慌てなくてもそのうち話す機会もおとずれるだろう。
そう自分を納得させて数日前から読んでいる本の内容に意識を向ける。
本の中の世界では亡国の王子が国を追われ、それでも祖国を奪還せんと奮闘していた。
典子はこの、少し頼りない王子が好きだった。
最初から強い人もいるだろう。でも、少しずつ成長して強く立派な王になっていく姿に、憧れた。
(自分もこんな風に、成長していけるのかな。)
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