0人が本棚に入れています
本棚に追加
穏やかな1日になる筈だった。
だが期待は外れ、典子の運命は大きく動き出した。
朝会に表れた担任教師は見知らぬ少女を伴っていた。
「見ての通り転入生だ。」
若い担任教師は楽しそうにそう言ってホワイトボードに大きく名前を書いた。
「小田原真理子です。よろしくお願いします。」
お辞儀をすると、長い黒髪がさらりとおりた。
教師よりも落ち着きのある少女だった。同じ中学生に見えないほど大人びた人だと感じた。
クラスはざわめきながらと彼女を観察する。
典子は居心地の悪さを覚えた。あんなに注目されるなんて自分には耐えられない、そう感じていたからだ。
しかし真理子は違った。
ニコリと微笑んだ途端に、教室の時間が止まったように静まり返った。
典子も息をのんだ。
何だろう、あの堂々とした人は。
自分とは全く違う人種だと感じた。
最初のコメントを投稿しよう!