-Chapter01-

2/3
前へ
/3ページ
次へ
 やってしまった。僕はそう思わずにはいられなかった。  集まった男女10人ほどの志願者は、みんながみんな総じて正装だ。上からしたまでキッチリとキメてきている。  それに対して、僕はフード付きのウインドブレーカー。それと、部屋にあったよれよれのジーパン。動きやすさを重視した結果、この格好になってしまった。まさか正装でこないといけなかったなんて……そんなこと貼り紙には書いてなかったはず。  僕はウインドブレーカーのポケットに手を突っ込み、今度は何度も折りたんでは開いたせいでよれよれになった貼り紙を取り出す。  それはこの世界に多く存在する"ギルド"の中でも、僕が一番心惹かれたギルド、"綺士団"の入団希望者募集チラシだ。  上から下まで読み返してみても、集合は正装で!とはどこにも書いていない。やっぱりこの格好でもいいんじゃないか。まあ、何人かからチラチラと視線を感じるくらいには、浮いてしまっているけれど。 「おい、フードくん。お前まさか、何処かの街に貼ってあったやつを剥がして来たのかよ?」  突然話しかけられ、思わず肩が跳ねた。な、なんでいきなり。人のことをただの被り物呼ばわりして。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加