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人間ちょっとした変化に
ガラッと感情が変わるものなんだな。
でもこの恋の結末はあまりに早すぎた。
始まったばかりの気持ちを、捨てる準備も、覚悟さえもできてなかったから、
行き場のなくなったこの気持ちを、
これからどう処理していいのかわからなくて…。
はぁ…
心の中で深いため息が漏れる。
だから…聞きたくなかったのに。
小林のバカ!
裕のバカ!
裕に恋した私の
大バカ者!
もういいよ!
とことん、裕の言う“いい部下”に
なってやるんだから!
「注文…していいの?」
「どうぞ?」
じゃぁ遠慮なく・・・
カウンターの中にいる板前さんに向かって会釈すると
「えっと…大トロとイクラと…ウニとあわび」
横目でギュッとまゆをしかめた裕は
「てめぇ、なんの恨みだ」
って言いながら、結局同じものを注文していた。
ちなみにあわびは時価だって。
どれくらいの値段なんだろうって思って顔がにやける。
裕を忘れる代償…
あわびなんかじゃ
全っ然足りないんだから!
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