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心情
裕一郎 side
“私たち…別れよう…”
9年前、大好きだった女に振られた。
1年と半年付き合った幕切れは、とてつもなく、あっけなさすぎて・・・
“疲れた”と呟いた彼女の一言は、俺が今まであいつにしてきたことの結末だった。
大学に入学したての俺は、すべてが新鮮で楽しくて、
サークルや、いい仲間にも出会えて、
おまけに彼女までいて…
これ以上ないと思うほど、最高に充実した生活を送っていた。
だけど、やっぱりすべてが何もかもうまくいくわけじゃなくて…
突然、なんの前触れも無く告げられた言葉。
少し痩せたかとも思える麻衣の頬と、
力をなくしたその瞳を見ると胸の奥が痛んだ。
こんな顔させるために、
俺たちは付き合ってるわけじゃないのに。
優先にすることが増えて、
どんなときも麻衣を一番に考えることができなかった俺は、
別れることを選択した。
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