交差する想い

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いやいや・・・動揺したらダメだ。 …挑発に乗ったら私の負け。 惑わされたら裕の思うツボ。 うろたえてる私を見て、楽しんでるだけなんだから・・・ 「うぬぼれんなよ?」 なっ!! 「だから思ってないってば」 「ふーん…」 ちょっと待ってよ。 人を、自意識過剰みたいな目で見てきて・・・ もう! なんか私一人でバカみたいじゃない。 なんだか気まずくなって 急に会話もなくなり お互いただお酒を飲み続けるような重い沈黙が続いてしまった。 やっぱ 言わなきゃよかったかな。 結局なんの答えも聞けなかったし。 裕は芋焼酎の中に入ってる氷を、指でチョンチョンってしずめながら、 ほんの一瞬だけ私の顔を見て、 「でもさ…もしそれ、麻衣のことだよって言ったら…お前どうする?」 改めて絡み合った視線。 えっ…? 今はその表情にふざけてる様子もなくて いたって真剣な眼差しに、ドキドキ早くなっていく鼓動。 「な、なに・・・それ…」 動揺してしまって目を泳がせた私に、 裕は軽く苦笑するだけで、 それ以上 何も口を開くことはかなかった。 私…やっぱり、からかわれてるのかも。 もうこれ以上惑わせないでほしいよ。 こないだだってキスされて 心ぐちゃぐちゃに されたっていうのに…。
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