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おとといもそう…
帰ってしまう裕を
引き止めずにはいられなかった。
でも、今日こそは、
またおかしな自分になってしまわないように、家に帰ることだけを考えようとしていたら
「麻衣…さっき小林に言ったこと…本当だよ」
その気持ちを、さえぎってきた裕。
小林に言ったことって…
なんのこと?
もしかして、 “部下”って話?
なんだ…そのことなら、わかってるよ。
そんな改めて、釘打たなくても…
どこまで傷を深くする気?
「仕事…一緒にしたいと思ってたんだ」
裕はタクシーの前で立ち止まると、
私の目も見ずにそう呟いた。
「…うん」
知ってる。
「経理部長から…聞いた」
「えっ?」
「裕が私を営業部に呼んだって」
「あぁ」
「私がこの会社に勤めてること…知ってたんだね?」
裕は無言のまま
ゆっくりと頷いた。
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