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免疫
涙も出ない。
もうため息さえもでない。
ただ、今は何も考えたくない。
駅に向かう途中、赤信号でボーっと立ち止まっていると、いつの間にか歩行信号は青に変わっていて、
あっ…渡らなきゃ…
点滅し始める信号を横目に横断歩道を渡ろうとしたとき、
倒れるかと思うくらいの勢いで、
グィッと後ろに引き戻された。
びっくりして振り返ると、
えっ…?
「ど、どうしたんですか?」
ハァハァ息を切らせながら両肩を動かしている裕。
「探したよ」
……?
探したって…なんで?
その目は、
ただの被害妄想かもしれないけど、
同情しているような目にも見えて…。
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