免疫

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ずいぶん高級感たっぷりの門構えだな。 お寿司って言ったものの、 ここまでじゃなくても… 「…い、いいの?」 私、財布の中身ないけど… とまでは言えなかったけど 店を前にして一瞬ひるんだ。 「何が?」 「高級…そうだね…」 「…寿司とかぬかしといて…今更、謙虚になるなよ」 門をくぐって行った裕の後ろを 怖気づきながら 私もチョコチョコとあとを追った。 店の中に入ると、Uの字型に造られた カウンターに十数席あるテーブル席。 裕はすたすた歩いていくと 迷わずカウンター席に腰掛けた。 こんな店のカウンターで 何を食べろっていうの? 河童巻きですら1000円くらいしそう。 でもカウンターでよかった。 テーブル席なんかに座ったら、 正面に座る裕を見ながら食べるなんて、 せっかくの高級お寿司が 味どころじゃなくなるし、 会話だってきっと目すら 合わせられない。 ここなら裕を見なくても、話が出来る気がして…。 そう思ったのにも関わらず横に座っている裕をチラッと見てしまうと 私よりも先にこっちを見ていた裕と目が合ってしまった。
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