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真相
心臓は、もうこれ以上早く鼓動しないと思うほど、
ドクドク、ドクドク鳴っていて、
足は、今すぐこの場から逃げ出したいって言ってる。
一瞬だけ裕を見ると
小林に向けられていたその瞳は、
チラッと私の方へ視線を移した。
目が合った瞬間、
ドンって音がするほど脈打った心臓。
裕…
お願いだから…
何も言わないで…
裕がどう思ってるかなんて知りたくなし、
何も聞きたくない。
思わず両手で耳をふさいでしまいたくなった。
でもそれはできなくて
その代わりに、ぎゅっと両目をつぶると
「俺はいい部下を持ったと思ってる、朝倉も小林も」
自然に止めてしまっていた息が、
その言葉を聞いて
はぁ…っともれた。
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