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月曜、午前八時半。
いつもと同じ時刻、いつも通り上質なファッションに身を固め、ヒールの音も軽く海事の大部屋に入っていく。
「主任、おはようございます!」
「おはよう。宮崎君、高野君」
早くに出社している若手男性社員から飛んでくる挨拶に笑顔を返しながらアジア部の島へと進む、いつも通りの朝。
片桐怜樹と並ぶトップの評価でこの会社に入社して、もう十一年。
努力とキャリアを重ね、時に大切な恋も犠牲にしながら、ここ海外事業本部の出世頭と言われる今のポジションを築いてきた。
と言っても、仕事に埋没して女を捨てるなど負け犬も同然だ。
肌も髪もファッションも、すべてに気を配ってこそ注目を集めるトップにふさわしいのだと自分を磨いてきた。
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