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いじめの標的は、その女の子から羽場野に移っただけではなく、彼らをいじめる者さえ移ってしまっていた。
はじめのうちは一部の女子グループからいじめられていただけだったが、その内男子からもひどい目に遭い、彼は心を閉ざしていた。
毎日が暗く、どんよりとしていた。
好きになった子はいじめのターゲットから外されていたため、彼はその子と会うことが気まずくなりしばらく不登校になる。
学校に行けなくなった弱い自分を責め続け、しまいにあと一歩で精神崩壊するところで、彼の事情を嗅ぎつけた一信が、複数の男女とともに彼の自宅へやってきた。
それは、羽場野の人生観を大きく変えた出来事だった。
その出来事のおかげで、彼にひどい行いをしていた奴らは改心して慰謝料払いますから許してくださいと彼に泣きつくようになり、羽場野の日常に笑顔が戻った。
そうして、学校に行けるようになった彼はいじめられていた女の子と付き合うことになり、最高の中学生活を過ごした。
「な、なあ牧田先輩」
「何よ」
過去のことを話そうと、羽場野は口を開く。
口を開いても、香の両目がそれを閉じさせる。
「俺さ、昔いじめられたことごあるんだ」
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