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それを聞いた香の目が、少し揺れたように見えた。
羽場野の言葉を聞いたラスクは、微笑んでいた。
未来ある彼らを、見守ろうと。
その笑みは、そう語っていた。
「いじめ・・?」
「ああ。俺、中学の時にいじめられた女の子を助けてよ。そしたら逆に、俺がいじめられちゃったわけ」
「は、何よそれ」
「話を最後まで聞いてくれ、先輩。いじめられた原因は俺には分からねえが、いじめる側といじめられる側、両方とも悪くないと思うんだ」
「突然ね、あんた」
「ああ、悪いのはそれを作った環境なんじゃないかって俺は思う。中学生活の頃までってさクラスではばにされてるやつとかいるじゃん?」
「ええ」
「そういうやつってさ、何ではばにされるのかっていうと俺が思うに、その学校の校則が悪いんだよな」
「え、ええ」
「例えばの話、もし一日に授業を六時間やる学校があったとしよう。しかも六時間全部の授業で、宿題が出るとする」
「ええ」
「もしそんな学校が存在したら、中学生の奴らはどう考えると思う?」
「どうって、そりゃあ・・めんどくさいとか、嫌だとか」
「そうそう。けっこうマイナスのイメージもっちゃうんだよね。その中で頑張ろうと思えば頑張れるし、彼女作ろうと思えば作れるはずなんだ」
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