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一人の男が、焼け野原となったところを見ていた。
今が何年の何月何日なのかといった事を知らずに、男はそこに立っていた。
そこには、元々ライブハウスと呼ばれた、死よりも辛い戦いを虐げられた空間があったはずなのだが、男の目の前には、何もない。
そこには、辺り一面、煤と、黒焦げた跡で覆われた空間が存在するだけだった。
男は、煤と黒焦げた跡で覆われた空間を見て、涙を流していた。
その涙が一体どういった理由で流れているのかを知る者は、その場にいる男以外他はない。
だが、一体どういう訳か、男のことを理解したある男性が、後に、男の体験を元に小説を執筆し、それを世に出したところ一億部突破という驚異の重版記録を叩き出した。
しかし、ある日を境にぷっつりと更新が途絶え、今では未完の話題作として、この小説のことを知らないものはほぼいないとされている。
この小説のタイトルを、魔の書という。
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