第二章

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「似合ってんじゃん」 彼の言葉に思わず笑みがこぼれる。 「それに見ない間にスゲー可愛くなってねぇ?」 お世辞だと分かっていたが制服姿を誉められたうえ、唐突に言われた誉め言葉に自然と頬が赤くなる。 「あ、ありがとう。博己兄ちゃんもかっこよくなった。スーツがすっごく似合うし」 「ありがとう」 指に煙草を挟み笑いながらコーヒーを口にする彼に視線を向ける。 学校で制服を着崩した男子はいるが、目の前にいる彼の方が数段カッコいい。それに学校の男子にはない男性の色気がある。 そんな目の前にいる色気のある大人の男性は、緩めたネクタイにシュルッと首から外すと座っているソファーにもたれて煙草を口にした。 一連の動作と仕草から更なる色気を感じ、つい見とれてしまっていると「なんかついてる?」と聞かれてしまった。 「う、ううん」 視線をずらし恥ずかしさを隠しながら淹れてくれたコーヒーを口にした。
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