第三章

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「さあ?そういえば最近は見ないわね。子供の手を引いて初詣に行く姿よくみたわよ」 「子供いるんだ」 「うん、そう……ね……、アハハ」 既に耳と視線を切り換えた母はテレビの中の芸人達のやり取りに笑だす。 久しぶりに帰省した実家。 寂しがってるはずの父は正月早々、大好きな囲碁や将棋仲間と対局しに行きほぼ家におらず。 あたしは話相手が欲しかった母の作戦にまんまとのせられ帰省したらしい。 そして急な帰省の為、地元の友達も殆どが『旦那さんの実家へ行かなくてはいけない』という、強制行事(既婚の友達は皆、そう言っている)があるらしく、結局は誰に会うこともなく帰省した日からずっと実家に引きこもり、母のおせち料理に箸をのばしだらだらとこたつに入り、正月番組を見るという、実家に帰らなかった4年間とたいして変わらない正月を過ごしていた。
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