第三章

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「名刺お渡しした時、自己紹介もしましたよね」 あたしはわざと他人行儀な言い方でそう返した。 「『長谷川』瑶子さんでしたね。それは失礼しました」 生まれてから1度も変わらぬ名字を強調した彼はくっくっくと堪え笑いをした。 その様子にムッとし「それに彼氏いたら誘われても男の人と二人っきりで飲みません。それを言うなら博己兄ちゃんだって奥さんいるのにあたしなんか誘っていいの?後で怒られても知らないんだからね」 言いたいことを一気にいってグラスを空にする。 「ははっ、俺は大丈夫。何てったって……」 「俺の奥さんは心が広いから?」 食べていた串焼きの串を彼に向け続きを言う。 すると彼は不適な顔で「俺独身だもん」と笑った。
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