第三章

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「えっ!?」 串を向けたまま動きを止めたあたしを見て彼はおかしそうに笑い、その笑顔まま「離婚したんだ」とグラスに口をつけ、空いている左手をヒラヒラと振った。 その指に指輪はなかった。 「あっ、えっ?……ご、ごめん。知らなかったから……」 「なんで謝るんだよ。いいんだよ。もうずっと前だし円満離婚だったし」 「お子さんは?」 「二人とも向こう」 「そうなんだ……」 あんなに盛り上がっていた会話が途切れてしまった。
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