第三章

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「そ、そういえばね、今年。母に騙されて久しぶりに実家に帰ったんだ。博己兄ちゃんは帰ってるの?」 途切れた会話を繋げようと、頭に浮かんだ事を言葉にした。 「んー……ここ何年かは帰ってないな」 「そうなんだ。家族揃って初詣に行くのをよく見たって母さんが……」 ハッとして言葉を止たか遅かった。気まずくなり彼が見れない。 「なんだよ気にすんなよ。そういえば、俺まだ初詣行ってねーな」 彼は気を悪くすることなくカラカラと笑った。 「明日行ってくるかな。で拝んできてやるよ。『瑶子に素敵な彼氏ができます様に』って」 「それくらい自分で見つけますっ。だったら『再婚できます様に』って拝んだら?」 「お前、生意気になったな」 あたしたちは共に笑いだした。 そしてその後は、思い出話に花が咲きいつになく楽しい時間が過ごせ満足した。
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