第三章

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「映画の試写会のチケット貰ったんだ。券やるから誰かと行ってこいよ」 携帯を耳に挟みながら口の中のサンドウィチを飲み込む。 「みーんな彼氏持ちか旦那もち。一緒に行く人なんかいないよ」 行く人がいないって知ってて言う彼の声に多少自棄気味に返す。 「寂しいな」 電話の向こうで笑う彼が容易に想像できる。 「さ、寂しくなんてないよっ。博己兄ちゃんこそ彼女誘っていけばいいじゃん」 「バーカ、彼女いたらお前誘わねーよ。こっちもみーんな家族もち。……お互い寂しいな」 ため息混じりにの声の後、少し間が開いた。
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