第三章

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「おっ、これ旨い」 そう言った彼に「ほら」と箸でつまんだ料理を口元に持ってこられ、反射的に思わず口を開けてしまった。 「な?」 同意を求められ頷くと「だろ?」と、彼は嬉しそうに笑ってその料理を口に運ぶ。 間接キスを指摘する年ではない。 しかし、彼が口に料理を運ぶ度、その箸を目で追ってしまう。 「なに?」 ついつい見続けてしまっていると「そんなに食いたいの?」と彼があたしを見る。 「食欲旺盛で結構結構」 彼は笑いながらあたしの前へお皿を移動し飲みかけていたジョッキを口にした。
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